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「アンチエイジング実践のために運動を」(概論)

皆さんは「アンチエイジング」という言葉から、どのようなことを想像するでしょうか?

「若々しい」とか、「老け込んでいない」といった、とてもその実年齢には見えないという外見的な若さ、輝きというものを連想される方が、特に若年層を中心に多いように思います。

アンチエイジングに興味を持つ方のほとんどは、「自分はいつまでも若々しくいたい!」という強い願望を抱くことがきっかけになるようです。この若々しさは、もちろん外見だけのものではありません。いくら実年齢からは想像できないような、張りのあるみずみずしいお肌をしていても、歩くときに背中を丸めて、すり足のようにトボトボ歩いていたり、階段を休み休み昇っているようなら、とても若々しいとは言えないでしょう。やはり胸をピンと張って、少し大股でシャキシャキ歩いていたり、階段を早足で昇り降りするような様子は、とても若々しい印象を与えるものです。

このように、年を重ねても活動性が維持されていれば、いつも自分のやりたいことを他人の手を借りずに自らすることが出来、また社会への参加に対しても積極的になれることから、生活の質(Quality of Life : QOL)が高い状態をずっと維持することにつながります。「アンチエイジング」の最終目標はここにあるように思います。

 実際このように活動的な状態を、年を重ねても維持していくためには、まずは筋肉の衰えを防ぐことが重要です。筋肉の量は20歳前後をピークに、年齢とともに徐々に減少していくことが知られています。もちろん、この衰え方は個人によって大きな差があり、一口に高齢者といっても、寝たきりになってしまう人もいれば、ボディービルダーで若者顔負けの筋肉を誇る人もいます。この差は、筋肉を使うか使わないかによる部分が大きく、日常の生活環境に合わせて身体が変化するという適応現象の結果とも言えます。つまり、筋肉を効率よく使うことを心がけて日常生活を送れば、加齢にともなう筋肉量や筋力の低下を防ぐことも不可能ではありません。

 年齢とともに筋肉量が減少するといっても、筋肉の部位によって減り方が異なります。特に目立って減る筋肉は、大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)です。この大腿四頭筋はヒトの身体のなかでも大きな筋肉で、日常生活の中では、立ったり座ったり、階段の昇り降りなどの際に主に使われる筋肉です。ちょっとつまずいた際に、身体のバランスが崩れるのを防ぐように働く筋肉なので、つまずいて転倒骨折といったアクシデントを予防するためには、この筋肉が衰えないように心がける必要があります。また転倒骨折のリスクと関係が深い筋肉として、大腰筋があります。ひざを上方に動かすのに直接働く筋肉で、日常の歩行や階段の昇りの際に役立っています。この筋肉の衰えは、歩行時に地面から足があまり上がらないすり足歩行にもつながり、ちょっとした障害物につまずきやすくなるため、注意が必要です。「アンチエイジング」の観点から、これらの筋肉は特に鍛えておく必要があります。

 一方、年齢とともに基礎代謝をはじめ身体全体の代謝能が低下してくることもよく知られており、これが様々な生活習慣病を引き起こす原因の1つになります。糖代謝や脂質代謝が悪くなってくると糖尿病や高脂血症をもたらすことにもなり、ひいては動脈硬化につながって、狭心症や心筋梗塞、脳卒中を発症する可能性も高まります。このような病気は直接死につながるか、生活の質を著しく下げる結果を招いてしまいます。そうなりますと「アンチエイジング」どころではなくなるわけです。このような観点から、身体全体の代謝能が低下するのを防ぐということも「アンチエイジング」の重要な目標といえるでしょう。

 これらの筋肉の衰えや身体全体の代謝能の低下を防ぐためには、もっとも効果的な手段は、適切な運動ということになります。実は、加齢によって骨密度が低下して骨が弱くなる現象をくい止めるためにも、運動は必須の手段となります。

運動はアンチエイジング対策のなかで、もっとも重要な位置を占めるものといってよいでしょう。自分の周りを見回して、運動・スポーツを日常的に行っている人は、活動的で、若々しい印象があることから、運動がアンチエイジング対策に有効だということは誰もが理解していることだと思います。ただ、どのような運動が「アンチエイジング」の観点から適切なのか、また、運動がよいのはわかっているけれど億劫だ、といった問題点が自分の中で解決できず、なかなか運動に踏み出せないという人が多いように思います。

次回以降では、アンチエイジング対策に有効な運動の具体例や、日常生活の中で無理なく続けられるコツを紹介します。

同志社大学スポーツ医科学研究センター
教授 高波嘉

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