【三谷和男先生 プロフィール】
「漢方講座」を担当させていただく、京都府立医科大学東洋医学講座の三谷です。漢方・東洋医学の考え方を、できるだけ平易な表現でお伝えできればと思っています。
2007年12月 その2(2/2)
色は色調(血色)、光沢(艶)、栄養状態などの観察で、漢方の代表的な病理観である?血(おけつ)症とか虚寒証とかを判断します。形と態は、「かたち」と「働き」という意味で相互関係にあります。患者さんと向き合った時、私の方をしっかりみつめ、ベッドへの移動などからだの動きがよい状態であれば、「ああ、この方は治り易いな」と考えます。 しかし、大儀そうで何となく動きが悪く、うずくまるような感じで壁の方に向かって臥し、私をみることもおっくうがっている様子では、治療に難渋することを覚悟します。 西洋医学においても、歴史的にチフス様顔貌、テタヌス顔貌、ヒポクラテス顔貌といわれるように、くわしい顔つきの観察があり、これらの所見は今でもある程度参考になります。 しかし、漢方では視(目を止めてみつめる)診といわずに望(つま立ちをして遠くを望む)診としている意味を考えておく必要があります。 古く「霊気を望んでその妖祥(ようしょう)をみる」とか「望気によって敵情を察する」といわれますように、単に目で見えるものを視(み)る、観察する、だけでなく、目に見えないもの、つまり患者さんの背景にあるものを望視しましょう、というわけです。 これは、「医学はすべて観察にある」と述べたランネックの思想よりも深いものがあります。 診察室では、私たちの目の前には患者さんが一人おられるだけですが、その方のご家族や取り巻く職場の方々、さらにはその患者さん自身のこれまでの歩みなども含めて考えていく必要がありますね。 こういった姿勢こそ「目に見えないものまでみる」「背景にあるものを望視する」につながります。 |