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ドクターズアドバイス

 

米井 嘉一先生 プロフィール
同志社大学 アンチエイジングリサーチセンター 教授
<主な著書>
「抗加齢医学入門」(慶應義塾大学出版会)
「アンチエイジングのすすめ」(新潮社) 等

―眠りが浅い― メラトニン分泌が関与

<症例>
50歳、男性、会社員。
最近、会社の人間関係にストレスあり。寝る前にあれこれ考えごとをしてしまい、寝つきが悪くなった。
せっかく眠ったと思っても、ちょっとした物音で目が覚めてしまう。
朝6時半に目覚まし時計をセットしても、ベルが鳴る前に起きてしまう。なんだか悔しい。
そして、十分眠ったという気がしない
眠りが浅いのだ。
だから前の日の仕事疲れをなんとなくひきずっている。
クリニックを受診したら、睡眠薬を処方された。
以前より眠れるようになったが、時に頭が重いことがある。
なんとなくクセになりそうだ。
このままでよいのだろうか。


これは眠りの質の問題です。眠りの質にはメラトニンが大きく関与します。
メラトニンは、脳の松果体から分泌されるホルモンです。
松果体は視床下部の支配下にあると考えられています。メラトニンの分泌は、睡眠と覚醒の周期をつかさどり、体内時計の役割があります。
夜、真っ暗な状態で、目の奥の網膜に光が当たらなくなるとメラトニンが分泌され、朝になって網膜が明るい光を感じるとその分泌がストップします。メラトニンレベルは子どものころがもっとも高く、その後急速に低下してしまいます。40歳をすぎて眠りの質が低下するのは、メラトニンの分泌が減っているからです。「ねつきが悪い」、「眠りが浅く、物音ですぐに目が覚めてしまう」といった症状は、メラトニン不足が原因です。
60歳を超えると1割以上の人が安定剤や睡眠剤のお世話になっているという調査結果もあります。
本当は、睡眠剤にたよるより、もともと自分の体内に存在するものと同じ物質であるメラトニンにたよったほうがより自然です。睡眠の質が改善され、副作用も少なくてすみます。
睡眠薬を服用すればたしかに良く眠れるようになるかもしれませんが、睡眠の質は改善しません。また、メラトニンには強力な抗酸化作用や、免疫力を高める力があることもわかっています。


例えば、目の不自由な方は、網膜が光を感じないので、メラトニンが一日中分泌されます。メラトニン血中濃度も高くなります。また別の調査で目の不自由な方は、がんの発生率が低いことがわかっています。
その理由は、メラトニン分泌が多いので、免疫力が高まり、がんに対する監視機構が強化された結果、がんの発生率が下がったとされています。
自己のメラトニン分泌を高める努力をしましょう。まずは、起床時に明るい光りをあびること。
メラトニン分泌が停止し、12時間後のメラトニン分泌がリセットされます。寝つきがわるいというタイプ方は、仕事や人間関係など、精神的ストレスが原因になります。
ストレス対策は重要です。規則正しい生活習慣や栄養バランス、適度な運動を心がけるべきです。
ぬるめの湯でゆっくり入浴し、心と身体の疲れをとりましょう。寝る前にお勧めの栄養素としては、適度な糖分、カルシウム、アミノ酸のトリプトファン、具体的な食品としてはホットミルク、バナナなどです。
睡眠薬の服用では、睡眠の質は改善しません。

同志社大学 アンチエイジングリサーチセンター
教授 米井 嘉一

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